オートキャド(AutoCAD)の機能として、モデル空間とペーパー空間の説明をする前に……
そんな話だけで前回は終わってしまいました。

ちょっと内容の薄い話で申し訳ありませんが、今回からもう少し具体的な話に入ってくると思います。
ということで、今回は「図面の基本的な考え方」について色々と書いてみたいと思います。

■紙に印刷した図面
まずは基本的な話として……図面というのは紙に印刷したものを実際に見て使いますよ、という話をしてみます。
CADを使うのか、もしくは人間の手で描くか。

時代によってそういう違いはありますが、最終的な「成果品」は紙の図面ということに違いはありません。
これがまずは基本的な考え。

CADで図面を書く仕事を請け負う会社があったとして、取引先に作図した図面を納品する、という場面はたくさんあります。

その場合は図面の「CADデータ」をメールで送ったり、共有のサーバーにアップロードすることで仕事としては完了です。

私もそういう仕事をやっていたことがありますから、そんな状況はよく分かるつもりです。
そういう仕事をしていると、「成果品はデータ」という考え方になってしまいがちですよね。

でも、送ったデータがどう使われるかというと、最終段階まで進むと紙に印刷されることになるんです。
データだけだとCADを使う人しか図面を見ることが出来ません。

でも実際に図面を使うのは、CADを使わない人がメインであることが多いんです。
だから、CAD上で図面を見るのではなくて、紙に印刷して誰でも見ることが出来る状態にする。

これが「成果品が紙である」という理由です。

■図面のお約束
紙に印刷した図面には、余程の事情がない限り「縮尺」というものが存在しています。

作図する対象というのは業種によって様々ですが、分かりやすい例で言えば「建物の間取り」なども図面の作図対象ですね。

新聞と購読していると、休日にはたくさんの広告が入っていますが、その中にはマンション販売が結構入っています。

そうすると、大抵はそのマンションの一戸全体を上から見たような感じで、間取りが描かれているはず。
これがマンションの「平面図」です。

人間が住む場所ですから、建物というのはそれなりの規模をもっていて、当然1枚の紙に納まるサイズではありません。

でも、そのままの大きさで図面にするのは不可能ですよね。

だから「一定の倍率で作図対象を小さくして表現する」というのが、図面の基本的なお約束ということになります。

これを図面の縮尺と呼びます。

例えば「縮尺1/50の平面図」と言えば、作図対象を50分の1に縮小して紙に印刷をしたもの。
縮尺はその分母が小さければ小さい程、縮小率も小さいので、作図対象を細かく表現することが出来ます。

これは地図などを見てもそうですよね。

12万分の1の地図でおおよその道路情報を記載して、さらに詳しい情報を1万分の1の地図で説明する、とか。

図面の縮尺を変えるのはそういう目的があるからです。
ここではまず……

・図面は紙に印刷して使う
・作図対象は縮小して紙に納める
・縮尺によって表現出来る内容が違ってくる

というような話を覚えておきましょう。