前回は図面の基本的な約束事である「縮尺」を、キリの良い数値にする理由について書いてみました。
印刷した図面から正確な数値を読みとる。

そうした目的がある為、図面はきちんとした縮尺で印刷をしておく必要があるということです。
様々な縮尺で書かれている図面の数値を読みとる為、三角スケールと呼ばれる道具を使う。

図面を扱う人なら何度もやることになるそんな動作も、キリの良い縮尺であることが大前提なんですね。
そうしたキリの良い縮尺で図面を書く為に、オートキャド(AutoCAD)ではどういう操作をするのか。

今回はそんな内容の話をします。

■基本的なルール
オートキャド(AutoCAD)を使って図面を書く際には、作図対象をそのままの大きさで書いていきます。
100m×200mの建物があって、その図面を書く場合には、100m×200mの大きさで作図をする。

作図対象が小さくても大きくても、「そのままの大きさで作図をする」という基本ルールは変わりません。

オートキャド(AutoCAD)のデータ内では、いくらでも大きなモノを表現することが可能になっています。

色々と出来ることはあっても、あくまでもバーチャルな空間ですから。
だから非常に大きな建物などであっても、きちんとそれをそのままの大きさで表現することが出来ます。

手で図面を書いていた頃は、1mの線を引く為にもわざわざ縮尺を考えておく必要がありました。
1/50なら1000mm×1/50=20mmの線、という計算をして作図をしていた訳です。

でも、オートキャド(AutoCAD)ならば、1mの線はそのまま1mの線を引くことになります。

この違い分かるでしょうか。

作図中は特に何も考えず、そのままの大きさで書いていくというのは、地味ですがCADの便利な部分と言えるでしょう。

■紙の大きさ
手で図面を書いていた時代には、1mの線を表現する為に20mmの線を引いていました。
確かにこれは面倒なやり方ですが、もちろんそうしたやり方をするのには、それなりの理由があります。

そのままの大きさでは紙に納まり切れないから。
そんな単純な理由ですけど、紙のサイズが決まっている以上、絶対にやらなければいけない作業なんです。

紙の大きさはA1サイズで841mm×594mmですから、例えば100m×200mの建物などは、小さくしないと紙に入り切りませんよね。

200mという長さの建物をA1サイズの紙に納める為には……
1/200にすると200/200=1mということで、200mの線は1mに縮小されます。

でもA1の紙は横で841mmですから、1m(1000mm)の線でも紙の納まり切らない、ということに。

200/300=約0.66mということで、1/300の縮尺にしてようやくA1の紙に納まる図面になる計算ですね。

ここまでの考え方とか計算とかは大丈夫でしょうか。
やり方は多少違いますけど、基本的な考え方は手書きでもオートキャド(AutoCAD)でも同じです。

手書きの際には作図をする際に計算をして線を小さく作図します。

一方でオートキャド(AutoCAD)は、線をそのままの大きさで書いておいて、印刷をする際に縮小をする。

縮小するのが作図をする時なのか、あるいは印刷をする時なのか。
その違いはあっても、紙に納める為に縮小をするという基本的な考え方は変わらないんですね。

と、考え方については色々と書いてきましたので、これをオートキャド(AutoCAD)では実際にどうやるのか。

次回はそんな内容の話をしたいと思います。