図面の縮尺というのは建物の大きさと紙のサイズで決まる訳ではなく、「どんな目的の図面なのか」で決まる。
前回の内容を一言で書いてしまうとこんな感じです。

全体を見るために建物を1枚の用紙に納めて印刷をする、ということが必要になる場合も当然あります。
しかし細かい部分が読み取れない全体図だけでは、全ての情報を詳しく伝えることが出来ませんよね。

なぜ手間をかけて図面を書くのかというと、詳しい情報を見る側にきちんと伝えるという目的があるからです。
そうした目的を持って作図された図面なのに、詳しい情報が読みとれない全体図だけしかない。

そんな状況では図面を見る側も困ってしまいますよね。

■詳細を伝える図面
作図対象を図面で表現することによって、まだ実際に造っていないものの詳細を相手に詳しく伝える。
これが図面を作図する大きな理由です。

これはオートキャド(AutoCAD)であっても別のCADであっても、全く同じです。
そうした理由がある為、詳しい情報を載せた図面というのはどうしても必要になってくるんです。

そうすると、作図対象を1枚の図面に納めるだけでなく、何枚かの図面に分割して表現をする必要がある。
ということが言いたかった。

こうした図面の分割を、オートキャド(AutoCAD)のモデル空間でどのように処理するのか。
モデル空間の問題点としては、これが一番大きな問題なんです。

■作図対象のサイズと図面枠と
実際の作図対象というのは様々なモノがありますが、ここでは一例として建物で考えてみると……

建物のサイズがある程度大きい場合には、詳細を伝えるという目的があって縮尺が決まっている訳ですから、図面を分割する場合がある。

それはどんな場合なのか、というのをここで少し考えてみます。

建物の図面で言えば、ある程度詳しく建物の内容を読み取る為には、最低でも1/50程度の縮尺が必要になります。

1/200とかの図面では「ここに壁があるな」くらいの情報しか相手に伝えることが出来ません。
だからもう少し細かく、縮尺は1/50とか1/30とかになります。

縮尺1/50でA1サイズに納めて、分割が必要のない建物の大きさはどれくらいでしょうか。
A1サイズの用紙は841mm×594mmです。

だからオートキャド(AutoCAD)に慣れている人なら、その数値を50倍して計算をしたくなりますよね。

でも、図面にはそれがどんな図面なのかを示すタイトルや、会社名などを記入した「図面枠」が絶対に必要です。
図面枠があってはじめて、図面というのは正式な書類と見なされるんです。

その図面枠スペースとして上左右10mm・下40mmを見込むと、実質建物を印刷出来るスペースはもう少し狭くなります。

横:(841-20)×50=約41m
縦:(594-50)×50=約27m

ということで、41m×27mのサイズ以上の建物であれば、A1用紙に入り切らない為に分割が必要になります。

数字だけでは建物の大きさが今ひとつピンと来ない。

そんな意見があるかも知れませんが、オフィスビルとかマンションなど、大抵の建物はこれに該当するはずです。
もちろん1枚の図面納まる建物のたくさんあります。

しかし全部がそれに該当しない訳ですから、図面のプロであれば、分割をすることを視野に入れておくべきですよね。