図面というのは作図対象を縮小して表現することが多いですが、その縮小倍率はある程度決まっています。

ある程度決まった縮尺にする理由については前回説明しましたが、一体どんな縮尺が多いのかというと……
1/100とか1/50とか1/30とか、大体キリがいい縮尺になっている場合が多いですね。

1/47とか1/108とか、そういう中途半端な縮尺になっていることはまずないはずです。
今回はその理由について簡単に説明をしてみたいと思います。

■キリの良い縮尺
実際に図面を書いていると「縮尺1/50にすると、あと少しのところでA1の紙に納まらない」という状況が結構あります。

もう少し作図対象を小さくすれば……たとえば1/55にすればスッキリと入りきるのに。
そう思ったことは数え切れないくらいあります。

でも、図面というのはある程度決められた縮尺で作図するのがルールなので、縮尺1/55の図面とかあり得ません。

オートキャド(AutoCAD)の操作的には簡単なんですけど、それをすると「何も分かってないヤツ」と笑われます。

まあ笑われるくらいなら全然構わないんですけど、やっぱり図面のプロですから図面は「商品」な訳です。
その商品が不完全というか、まともに使えないものである場合は、プロとして恥ずかしいという思いが強い。

というのは私の個人的な思いですけど、印刷をした図面を見て笑われるようでは使えないですよね。
どうして図面は決められた縮尺で作図をする必要があるのか、という理由については前回説明した通りです。

では、キリが良い縮尺にする理由はどこにあるのでしょうか。

■三角スケールを使って
キリが良い縮尺にする理由は「計算がしやすいから」という単純なもので、それ以上の深い理由はありません。
でも逆に考えると、1/55とかの中途半端な縮尺にする理由も同じようにない訳です。

ある程度キリの良い決まった数値にしておかないと、見る側が使いにくいというのが主な理由になります。
また、紙に印刷をした図面を計る際には「三角スケール」と呼ばれる道具を使います。

三角スケールというのはこんなモノです。
三角スケール

縮尺にあわせて全部で6ヶ所目盛りがついています。

多いのが「1/100」「1/200」「1/300」「1/400」「1/500」「1/600」のタイプかな。

時々1/250とかもあります。
三角スケールを使うと、作図した図面にスケールをあてて距離を測るのが非常に楽なんです。

「これは1/300だから計った数値を300倍にして……」とか、いちいち考えなくても大丈夫。
単純にスケールをあてた部分の数値を読みとればそれでOKです。

これが仮に1/30であっても、数値を10分の1にするのは単純に0をひとつとれば良いだけなので簡単ですよね。

図面がキリの良い縮尺で書かれていれば、この三角スケールがひとつあれば全部距離が分かるんです。
図面に関わる仕事をする人は、最低でもひとつは三角スケールを持っているはず。

私も3つくらい持ってます。
この三角スケールを使う前提があるんです。

というか、キリの良い縮尺で図面を書く前提があるから三角スケールが販売されている、と言った方が正解に近いかな。

図面の縮尺についての話はこのあたりで終わりにしておき、次回はオートキャド(AutoCAD)で実際にどう作図するのかを紹介していきます。