前回は私の個人的な昔話みたいな内容になってしまいました。

それほど歳をとっている訳じゃないですけど、少なくとも若々しくはないので、そういう昔話をすると長くなりますね。

こういう話もたまにはイイんじゃないかと思うので、もう少しだけ続けてみることにします。

■ペンプロッタからインクジェットに
図面を作図する手段が、手描きからCAD+ペンプロッタへと変わっていき、仕事は非常に楽になりました。

コンピュータは疲れることを知りませんし、文句を言うこともないので、一日中印刷をしていても大丈夫。
時々紙が破れて止まるくらいは、全然問題ないレベルの話です。時々なら、ですけど…

ペンプロッタが実際に鉛筆(シャープペンシル)で図面を印刷していたのは、その図面を後から修正出来るから。

一度印刷した紙に対して後は手で修正をやっていく、ということが出来たので、従来の手描きに若干近いものがあったんですね。

もちろん大幅に変更となった場合には、再度印刷をすることになりますが。

それでも、消しゴムを使って地道に線を消していく手書きよりも、データを跡形もなく消すCADの方が楽でしたね。

でも、それからしばらくすると、ペンプロッタの代わりにインクジェットプリンタが登場しました。
これも、手書きからCADに変化した時ほどではありませんでしたが、かなりの大幅な変化でした。

ペンプロッタが密度の濃い図面を1時間近くかけて印刷していたのに対し、インクジェットでは図面の密度に関係なく印刷が短時間で終わります。

もちろん密度の濃い図面の場合は、データをプリンタに転送する際に時間がかかる訳ですが、その処理さえ終わればあとは一緒。

ただ単純に、インクを載せる場所と空欄とする場所の組み合わせだけで、5分もあれば印刷は完了しました。
今では1分程度になっているので、5分くらいかかるというのは懐かしい気もしますね。

でも、今までペンプロッタで頑張って印刷をして、1時間近くかかっていたのが5分に短縮したというのは凄いことですよね。

■機械の進歩と仕事のやり方と
インクジェットは素晴らしい早さを持っていましたが、スピードの他にペンプロッタと決定的に違うとことがありました。

まあ「インクジェット」と呼ばれるくらいですから分かりますが、印刷された図面の仕上がりが全てインクになったんですね。

鉛筆だった頃は、印刷された図面に手で修正をかけていましたが、それがインクに変わるとどうなるでしょうか。

インクでも後から手書きで修正は出来ない訳じゃないけれど、手間がかかりすぎるので誰もやりません。
それならば、どうせ印刷が早いからCADで修正をしてもう一度印刷をした方が楽で簡単。

インクジェットプリンタはそんな特徴をもっていたので、仕事のスタイルもそれに合わせて変わっていきました。

そして、今はインクジェットプリンタが主流になっていて、ペンプロッタを使う人はいませんし、使う会社もありません。

もしペンプロッタを使うようなのんびりとした会社だったら、きっと今まで生き残ってはいないはず。
厳しい世界ですが、進歩する方向に進んでいくのは人の性ですから、それ自体を否定する訳にはいきません。

だからペンプロッタがインクジェットプリンタに駆逐されるのは、ごく自然の事なんですよね。

きっとインクジェットプリンタも、もっと優れたプリンタが出現したらペンプロッタと同じ道を歩むはずですから。

当時はあまり意識することはありませんでしたが、やっぱりこれは大きな転換点だったと思います。