オートキャド(AutoCAD)には「自動保存」という非常に便利かつ有効な機能が用意されています。

しかしどんなに便利な機能であっても、操作をする側が上手に活用してあげないと、それこそ宝の持ち腐れです。

そんなことにならないように、まずは自動保存がどんな機能を持っているかということで、以下のような話を前回はしました。

・開いているdwgデータとは別のファイルで保存される
・データの保存場所は自分で設定できる
・自動保存の間隔は初期設定で10分
・間隔も自分で設定できる

今回はもう少し具体的な話として、自分で設定できる項目について説明をしていきます。

■自動保存の間隔による違い
まずは作図中の図面データをどの程度の間隔で自動保存してもらうのか、という設定について考えてみましょう。

前回も書いた通り、オートキャド(AutoCAD)の初期設定では、10分おきに自動保存をかけてくれる設定になっています。

この時間を設定することによって変わってくるのが、万が一dwgデータが壊れてしまった場合に「どれくらい昔のデータに戻るか」です。

もうちょっと具体的な話をすると…
万が一データが壊れた場合には、冷や汗をかきながら「sv$」ファイルを復元する訳です。

例えば自動保存の間隔が初期設定の10分で、自動保存されたデータを開いてそこから再度作図をする場合について考えると…

次回の自動保存が実行される直前にデータが壊れた、みたいに最も運が悪い場合でも、10分前の図面データに戻るだけで済みます。

運良く1分前に自動保存されていたら、当然1分前のデータ、つまりついさっきの状態に戻るだけの話になります。

でも、自動保存の間隔を3時間にしていた場合には、最悪の場合は3時間前のデータに戻ることに…

10分程度なら「良かった…」ってなりますけど、それが3時間になると…あまり嬉しくないのは恐らく想像出来ると思います。

オートキャド(AutoCAD)の初期設定では、自動保存の間隔が10分になっています。

それを変更しないで良いんじゃないかと思うのは、間隔を長くすると作業が無駄になる時間が多くなる、という理由があるからなんです。

■もちろんデメリットもある
自動保存の時間を長くすると、万が一データが壊れた場合に、もう一度やり直しになる作業が増えてしまいます。

そういう事なら、自動保存の間隔を1分に設定するのがベストなのか?
…というと、まあ大抵の極端な意見がそうであるように、必ずしも正解という訳ではないんですよね。

自動保存はオートキャド(AutoCAD)が勝手に実行してくれるので、こちらがそれを意識する必要はありません。

でも、今オートキャド(AutoCAD)が自動保存をしているな…と思うことはあります。
それはなぜかというと、通常の上書き保存をする場合と同じように、保存の処理には時間がかかるからです。

図面の密度が濃いほど保存にかかる時間は長くなるし、複数の図面を開いて仕事をすると、それが開いている枚数分になります。

今のパソコンは高性能なものが多いから1秒程度で済みますが、昔は普通に10秒以上保存しているのを待ってました。

そんな状況で自動保存の間隔を1分とかにしたら、絶えずどこかの図面で自動保存をしている、みたいな事になります。

データを保護して作業効率を上げる目的で自動保存を実行するのに、それ自体によって作図の効率が著しく悪くなる。

それは本末転倒と言うしかありません。

何事もバランスが大事ということで、やっぱり自動保存の間隔は5分~20分程度が良いんじゃないかと思います。